油の疑問にお答えします
一口にオイルといっても種類や特性はさまざま。きちんと適正にお使いいただくことでより大きな効果を得られます。 そのための基礎知識をまとめましたのでお役立てください。
よくある質問
- 「シンセティックタイプ油剤」って何?
- 油剤メーカー間で統一の定義はありませんが、広義として「潤滑成分として合成潤滑剤を使用した油剤」のことをいい、浸透性、冷却性、潤滑性に優れた特長があります。
- 「エマルション」「ソリュブル」「ソリューション」とは?
- 原液を水に溶かした際、白濁するものがエマルションで、透明性を増すのがソリュブル。特に透明になるものをソリューションと呼ぶ場合があります。
- 「高級潤滑油」と「並級潤滑油」の違いは?
- 潤滑油を処方する際、ベースオイルに添加剤を加えないストレート油を並級潤滑油と呼び、添加剤を配合したものを高級潤滑油といいます。
- 注目されている「生分解性潤滑油」ってどんなもの?
- 自然分解されにくい原油や鉱油とは違い、自然界で容易に分解される油として開発されたのが「生分解性潤滑油」です。 微生物が油分を食い尽くすため油分が無くなり、その微生物自体も水と二酸化炭素に分解され自然に戻っていきます。
- よく見る「エコマーク」って何?
- 環境にやさしい商品につけられるマークです。 その基準は商品によって違いますが、製造過程から使用・廃棄にいたる全てにおいて、環境にやさしいかが考慮されています。
- 潤滑油の「粘度」とは?
- 粘度とは「油の粘っこさを表す尺度」です。 粘度は潤滑油の性状のなかで最も重要なもので、冷却作用や油圧圧力の伝達には低粘度が好ましく、摩耗防止や密封性を求める場合は高粘度がよいとされています。
- 「粘度指数」って何?
- 潤滑油は温度変化に応じて粘度が変わり、その変化の程度を数値で示したものを「粘度指数」といいます。 数値が大きいほど、温度変化による粘度変化が小さい潤滑油です。
用語について
- 「pH」の意味は?
- 水溶性液の酸性、アルカリ性の度合いを表す数値です。 7.0を中性とし、それ以下だと酸性が、それ以上だとアルカリ性が増えます。 水溶性の油剤は、pH8~10の弱アルカリ性がほとんどで、腐敗が進むとpHが低下するので管理の目安になります。
- 濃度(%)と倍率は何が違う?
- 濃度は希釈液の中に占める原液の割合を示し、倍率は原液の薄め具合を表します。 仮に原液2を水100で薄めた場合は、倍率が50倍、濃度は2%になります。
- 希釈水と切削油の原液はどうやって混ぜればいい?
- 希釈水に原液を入れ、良く攪拌して溶かすのが基本です。逆だと均一に溶けない場合があるので注意してください。
- 二種類の切削油を混ぜても大丈夫?
- 基本的には混ぜて使わないでください。もし、やむを得ず混ぜる必要がある場合は、メーカーにご相談ください。
- 普段はどのように管理すればいい?
- 水と原液の補給量を記録し、一定の倍率で毎日補給しながら濃度管理を行ってください。 また、定期的なpH測定も油剤の腐敗や劣化の見極めに有効です。
- 油剤の保管方法は?
- 水分など異物の混入を防ぎ、直射日光をうけない涼しい場所に保管してください。 なお、特に冬期は低温になる場所を避けてください。
- アルミや鋳物など異種金属の切り屑が混ざっていても大丈夫?
- とても危険です。異種金属が混ざり水分があると、水素ガスが発生しやすくなり火災の恐れがあるので、決して混ぜないでください。
- 適した油圧作動油を選ぶには?
- 油圧装置が置かれる環境の温度範囲をもとに、ポンプメーカーが推奨する粘度範囲の作動油を選定してください。 粘度が高すぎたり低すぎると、油圧装置の設計通りの吐出量が得られなくなる恐れがあります。
- 作動油の温度はなぜ上昇するのですか?
- 作動油の温度上昇は主に、減圧やかくはん抵抗、内部漏れが原因の「作動油内部からの発熱」と、 ポンプや油圧モータ、油圧シリンダの摩擦抵抗で起こる「機械のしゅう動部分からの発熱」に分けられます。
使用上について
- 原液をいくら足してもさびが発生してしまう・・・
- ・濃度低下している場合があるので、適正濃度かどうか確認してください。
・混合不良あるいは分離の可能性があるので、攪拌が充分か確認してください。
・さびを促進する陰イオンが蓄積していないか、使用液をチェックしてください。
- タンクの表面に白い塊が浮いているが?
- それは、希釈水硬度の影響で発生する金属石鹸(スカム)というものです。水質を調査し、適切な油剤を選んでお使いください。
- アルミ部品が変色してしまった
- 適正濃度を守り、加工後は製品の洗浄を行ってください。 また、アルミ変色防止能に優れた油剤や変色防止剤をお使いいただくのも効果的です。
- 機械の塗装がはがれてしまう・・・
- 浸透性に優れる水溶性切削油剤は、塗料の剥離を起こしやすい性質があります。 エポキシ樹脂系などの二液硬化型塗料や、焼付塗料の使用をお勧めします。
- 泡立ってきた時はどうすればいい?
- ・まず、濃度が適正か確認し、高濃度の場合は調整してください。適正濃度でも泡立つ場合は、消泡剤を使用してください。
・消泡性に優れた油剤もあります。
・泡立ちの原因が設備自体にないか確認してください。 - 現場作業員の手荒れを防ぐ方法は?
- ・作業前に保護クリーム等を塗布し、油剤に接触した場合には手洗いを励行してください。
・保護手袋などの保護具着用も効果があります。保護具は常に清潔にしてください。 - 工業油種を少なくしたい・・・いい方法はありますか?
- 生産装置や機械の種類に応じた適油の選定が基本ですが、反面、油種が多くなると誤給油や保管・管理の複雑化の原因にもなってしまいます。 「油種をコンパクトに整理したい」そういったご要望のお客様には、「工業用多目的油」をお勧めします。
使用上の問題点について
- 休み明けに臭いが気になる・・・
- ・日頃から濃度管理をきちんと行いましょう。
・防腐剤を添加するか、または耐腐敗性に優れた油剤をお使いください。 - 臭い対策として「エアレーション」を行っても大丈夫?
- 好気性菌の繁殖やpH低下の原因になるので、エアレーションは避けてください。
- 使用済みの油剤はどのように捨てればいい?
- 油剤の種類によって廃棄方法が異なります。 処理の可否を判断のうえ、自社で処理するか処理業者に委託してください。なお、未処理の油剤を下水や河川に絶対に流さないでください。